重要度:★★★☆☆
こんばんうかるー!
今日は予備試験について書いていきます。
予備試験短答の戦略を考える
人気の予備試験
法務省の発表によれば、令和2年の予備試験の出願者数は15,318人、司法試験の出願者数は4,226人です。もはや司法試験の3倍以上の受験者数を誇る司法試験予備試験。
合格率は3〜4%と激ムズであることは間違いありませんが、合格すれば法科大学院にいかなくとも司法試験の受験資格を得られるとだけあって、目指す人は多いです。
予備試験が創設された目的
もともと予備試験は2011年に、いわゆる「旧司法試験」が完全廃止される代わりに始まった試験です。
多様性に富んだ法律家を育み、試験偏重型の流れを脱却するため、法科大学院を原則ルートとし、資金的に余裕がない人向けに例外ルートとして予備試験制度が作られました。
しかしところがどっこい、法科大学院にいかなくて済むならその方がいいなどの考えで予備試験受験者数が急増。もはや出願者数で3倍以上。
明らかに制度設計の失敗です。これは誰がどう見てもそう感じるでしょう。
予備試験の一般教養が求められる理由
さてこのような人気の予備試験、ご存知の通り、予備試験には一般教養科目があります。短答は他の法律科目の2倍の60点の配点、論文は法律科目と同様50点の配点があります。
立て付けとしては、法科大学院に入学するためには適性試験を受ける必要があるので、その代わりとして一般教養が求められるものでした。
しかし!ここ最近、法科大学院の適性試験は実施されていません。あまり興味がないのでニュースを追ってないのですが、たぶん2018年から実施していないんですかね?
そうだとすると予備試験の一般教養も中止されるべきたと思いますが、予備試験の一般教養はいまのところ中止されていません。なんとおかしい制度でしょうか。
制度がおかしいけど、、、
とまぁ制度的な説明、そしていかにその制度がおかしなことになっているかを簡単に書きましたが、受験生にとっては予備試験の一般教養がある以上は対策を考えざるを得ません。
前置きが長くなりましたが、今日は予備試験の一般教養、特に短答対策について書いていきましょう。
予備試験短答の一般教養の対策は不要である
結論
結論から言うと、予備試験短答の一般教養対策は不要です。
私は平成26年(2014年)の予備試験合格者ですが、予備試験短答の一般教養は完全にノー勉です。
予備短答一般教養が不要な理由は以下の通りです。
①法律科目で取らないと最終合格できない
まず一番大事なのが、予備試験に合格するために一番難しいのはどう考えても論文式試験ということです。
そして、論文式試験に合格するためには法律科目でしっかり点を取らないと合格できません。
予備試験の論文に合格するためには、短答の法律科目で8割近く取らないと難しいと言われています。
そして、予備試験短答は以下のような制度になっています。
- 予備試験短答においては足きりがない
- 予備試験短答は法律科目で8割とれば、一般教養が0点でも合格できる
つまり、一般教養の勉強よりも100倍くらい法律科目の勉強が重要なのです。
②短答で稼いでも意味がない
上述の通り予備試験は論文が最難関であることは間違いないのですが、仮に短答の一般教養で点を稼いで合格しても意味がないのは制度上明らかです。
つまり、予備試験は以下のような制度になっているからです。
- 予備試験においては最終合格までしないと、次年度また短答から受けなければならない(短答免除制度がない)
- 予備試験論文の合否は、短答の点数は関係ない(短答と論文は別採点)
そう、予備短答でどんなにいい点を取っても、最終合格に対しては全く影響がないのです。だから、勉強不要。
③論文の一般教養と全く別物
仮に予備試験の論文一般教養が、短答と同じような知識を問われるものであれば、論文対策を兼ねて短答対策をすることも意味があります。
しかし今の予備試験は短答と論文が全く範囲的にも被りません。
具体的には、短答はセンター試験のような幅広い知識を出題するのに対し、論文は小論文(というかセンター試験の評論を要約させるような)形式の問題です。
これらは全く対策が異なるので、予備短答一般教養の知識が論文一般教養に生きることがないのです。
④コスパが悪い
予備試験の短答一般教養は本当に範囲が広いです。センター試験全科目をごちゃごちゃにしたような問題が出題されます。
センター試験全科目くらいの範囲の対策をするのはむちゃくちゃコスパが悪いです。高校の勉強を全科目やり直すようなものです。
仮に予備試験短答一般教養の満点である60点を取ったとしても、上で書いた通り、論文に全く影響がないので、非常に無駄が多いのです。
⑤楽しくなってしまう
予備短答の一般教養はぶっちゃけしっかり勉強すると楽しいです。
高校のころあまり真面目にやらなかった科目、選択していなかった科目などを大人になって勉強すると楽しいんですよね。
この「楽しい」のは注意が必要です。楽しいのはいいのですが、予備最終合格にはめちゃくちゃコスパが悪いので、趣味で一般教養の本を読んだりする時間があったら1問でも法律問題の過去問を解くべきです。
⑥現場思考で解ける問題も多い
予備短答の一般教養は、実は現場思考で解ける問題が散りばめられています。これを本番で見つけ出し、考えに考えて点を取れば、実は現場思考である程度の点数が取れます。
具体的には、確率の問題や論理問題などは、知識というよりはその場で力づくで全パターンを書きだすなどして正解を導けます。
その他にも、全く知らない理科系の問題であっても、中学校の数学知識でなんとか解けるような問題もあります。
なので、これといって対策をする”必要がない”のです。
とはいってもやるべき対策
さて、予備試験短答の一般教養対策がいかに不要であるかはおわかりいただけましたでしょうか。正直本当に不要なのでノー勉でいくべきです。
ただ!一つだけやっておいた方が良いことがあります。
それは、模試(答練)を受けることです。
知識面での勉強は不要なのですが、最後に書いたように、予備短答の一般教養では現場思考の問題がでます。
そして、予備短答の一般教養は40問程度ある問題から、20問を選択して解答します。
つまり、予備短答一般教養は「問題を取捨選択する必要がある」ということです。
この「問題を取捨選択」する方法を確立しておくのは必要です。
どのような種類の問題があるのか(種類の把握)、一問どれくらいで解けばいいのか(時間配分)、自分が比較的正解を導ける分野はどこなのか(自己分析)、などを、答練で養う必要があります。
答練の復習は、点数を見て、解いた問題の分野を見るだけでいいです。本番と同じ知識はまず出ませんので。
おわりに
今日は、予備短答一般教養について書いてきました。
対策不要と言い続けましたが、これはあくまで短答の話なので注意してください。論文は一般教養も必ず対策をする必要があります。それはまた今度書きます。
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