重要度:★★☆☆☆
こんばんうかるー!
いやぁモヤモヤする。色々仕事でモヤモヤしております。しかしブログ更新はしていきましょう。
判例百選は必須かを考える
今回は、司法試験・予備試験受験生向けの記事です。
司法試験・予備試験受験生には、判例百選が本当に必要かどうかを考えていただきたいと思い、この記事をかきます。
あらかじめ言っておくと、この記事には批判が寄せられることを想定しています。でも、私の考えはこれなので書いていきます。
判例百選とは
まずは判例百選について。受験生であれば既によく知っていると思いますが、学習初期の方向けに判例百選の紹介から。
判例百選とはこちらですね。
司法試験や予備試験受験生のみならず、法学部生なら誰もが見て、買って、授業を受けている教材です。
判例百選のすごいところは以下のような点でしょうか。
- 各科目の重要判例を厳選してくれている
- お偉い学者さんが事案を要約し、判旨を抜粋し、さらに解説してくれる
- 解説は判旨の解説のみならず反対説なども紹介してくれる
- 判例によっては下級審の意味などまで解説してくれる
- 一つの判例はおおよそ見開き1ページで非常にコンパクト
まだまだある気がしますが、こんなところでしょうか。法律を学ぶ者として非常に心強い教材であることは間違いありません。
百選は試験上は必須ではない
さて結論から申し上げると、こんな素晴らしい判例百選ですが、司法試験や予備試験を合格するにあたって必須の教材ではありません。
私は判例百選を殆ど読んでいません。でも司法試験にも予備試験にも合格できました。
もちろん、学習初期の段階で買いはしました。理由はみんなが読んでるから。でも、正直無駄だったと思っています。
「必須ではない」と少しぼかしてますが、もっとはっきり言えば「不要」だと思っています。
判例百選が不要である6つの理由
さて、私が判例百選が不要であると考える理由は以下です。
①神格化しすぎ
まず、法学部出身の方は特に、判例百選を神格化しすぎです。
法学部生だと学部の授業の教材に指定されたりして、自然に判例百選を読んみながら学ぶ環境になるので判例百選は必須だと思うかもしれません。
でも私は非法学部で、ただただ予備試験と司法試験に合格するという視点でしか法律を勉強していません。
たまたま判例百選を読んでいないのではなく、必要になったら読もうと思っていたのに、必要だと感じたことが無かったのです。
まずは先入観を捨てましょう。本当に判例百選が必要なのか?自分の頭で考えましょう。
判例百選は法律を学ぶ上で神教材であっても、司法試験や予備試験に合格する上では神教材ではありません。
②百選を「つぶす」の謎
法学部生やロースクール生がよくいう謎の言葉。
「百選つぶした?」
これ、正直何の意味がある言葉なのか、私は今もわかりません。
百選をつぶすって何でしょうか。全て読むということ?すべて暗記するということ?すべてまとめノートを作るということ?わかりません。
「百選をつぶす」ことが目的なのではなく、受験生は「司法試験に合格すること」が目的なはずです。
百選をつぶすことを目的にして勉強をするのはゴールの設定がずれているというか、手段が目的化しているというか、そういう印象を受けます。
③予備校教材で対応できる
さて以上の理由は何も考えていない受験生の批判でしかないのですが(もちろん目的を考えている方はいいです)、実質的な理由も触れていきましょう。
まずは、司法試験や予備試験の問題は予備校教材で十分対応できる点です。
判例百選に掲載されている判例は当然重要な判例です。それは認めます。
でも、重要な判例であることは当然予備校も認識しており、予備校テキストでもすべて網羅できています。
答練などでも重要判例は予備校がどんどん出してきます。
なので、百選を読まずとも、百選掲載判例は普段の勉強で習得できるため、別に百選で勉強する必要はありません。
④あくまでインプット教材
判例百選は、インプット教材かアウトプット教材かといえば、明らかにインプット教材です。
つまり、知識を吐き出すアウトプット教材ではなく、知識を入れるインプット教材です。
常日頃私が言っていますが、試験勉強はアウトプットが重要です。
インプットとアウトプットは勉強の両輪ですが、どうしてもアウトプットよりインプットを重視してしまう受験生が多すぎます。
判例百選はインプット教材なので、それを1000回読んだとしても論文は解けるようにはなりません(短答は解けるようになりますが)。
アウトプット教材は何かというと、過去問、予備校答練、問題集です。
まずはそちらでアウトプットをする練習をして、必要なインプットをする流れです。
判例百選を読み続けるとどうしてもインプット重視の勉強になりがちなので注意が必要です。
⑤学説はあまり重要でない
判例百選は、判旨以外にも学説が豊富に紹介されています。
でも、司法試験や予備試験の論文式は基本的に判例で書けば外れることはありません。
短答でたまに学説問題が出ますが、比重は少ないです。やはり論文が最重要ですから、学説を勉強する比重は低くなります。
もちろん、学説を理解することで、判例をより深く理解するということはありますが、やはりその比重は低くていいですし、それも予備校のテキストで十分理解することができます。
⑥論証が長い
判例百選は判旨が引用されていますが、それは論証にそのまま使えません。
判決で書く論証は長く、使いにくいことが多いです。
判旨を加工して論証を作成すればいいのですが、論証を削る作業が時間の無駄です。
私はとにかく論証は短くすることを徹底していました。論証を短くするコツ、それは答案例などから論証を作ることです。
予備校の答練や、過去問演習などから、論証をつくり、それを覚えます。
その方が、判例百選に載っている規範・加工する規範よりも、実践的で短い論証です。
以上のような理由から、判例百選は不要です。
判例百選の使い方
そうはいっても、判例百選の存在自体を否定するつもりはありません。
判例百選は以下のような場合は、うまく使えば、使っていいと思います。
上位合格を目指す場合
私は上位合格よりも、ギリギリでいいから早く受かることを目指して勉強していました。
戦略通り、予備試験は中~下くらいの順位で合格していますし、司法試験も最終合格順位は500位くらいです。決して上位合格ではありません。
より上位合格を目指す場合、判例百選は重要です。
様々な学説を知り判例の規範との違いを意識し、事案をしっかり分析して判例の射程を意識した方が、順位は上がります。
上位合格を目指す場合は判例百選を徹底的に読み込むことは非常に有用だと思います。
でも、それにこだわりすぎて合格が遅れたら本末転倒だと私は思っていたので、そこまで判例を研究しませんでした。
むしろ、点を取るためのテクニックを私は重視していました。
正確な判例の言い回しを読みたい場合
予備校の答練の論証などは判例の正確な言い回しではないことがあります。
それは実践的な論証にするためにあえて加工しているものもあれば、半ば誤植のようなものもあります。
正確な判例の言い回しを読みたい場合、判例検索ソフトなどを使えば間違いないですが、それは受験生には難しいでしょう。
なので、判例百選にあたることになります。
判例百選であれば、判例の正確な言い回しを勉強することができます。短答などでは正確な言い回しが問われることも多いので、その際は判例百選が良いと思います。
ロースクール生の考えを学ぶ場合
判例百選は不要だ不要だと言っていますが、実は私は司法試験に一回落ちたとき、民訴と刑訴の判例百選を一通り読みました。
それは、敗因分析の結果、ロースクール生の考えを軽視していたことが敗因の一つだと思ったからです。
試験においては多数派に乗るのが鉄則、そして司法試験はロースクール生が多数派。なので、ロースクール生が「つぶしている」判例百選を読む必要があると思ったのです。
これは、多少は意味はありました。ロースクール生はこういうのを読んで、こう考えているんだ、と学ぶことができました。
なので、(特に予備試験合格者に言いたいのは)ロースクール生の考え方を学ぶのであれば百選を読むのはあり、ということです。
おわりに
今日は、判例百選は不要であるという理由を解説してきました。
判例百選は有用な教材です。でも、多くの受験生は何も考えずに「判例百選をつぶす」という勉強をしていることに私は危機意識すら覚えます。
必要だと思えば百選を読めばいいのであって、最初から何も考えずに判例百選を読む必要はありません。
私はそのように考えていたところ、結局百選を読む必要はなかったなという結論に至りました。
判例百選を読み込んで合格している人の方が多数でしょうから、私のような合格者は少数派であることは理解しています。
でも、是非受験生の皆様には、「●●という必要があるから読む」という目的意識をもって取り組んでほしいなと思います。
なんかうまく書けなかった気がしますが伝わったでしょうか?
ほなまた!
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