重要度:★★☆☆☆
選択科目がある試験
世の中の試験には、選択科目がある試験が一定数ありますよね。
司法試験、公認会計士試験は論文式試験で選択科目がありますし、税理士などはそもそもどの科目を受験するかという入り口で選択制になっています。広い目で見れば、大学入試なども選択科目といえます。
選択科目をどれにするかというのは非常に悩ましい問題です。選択が違えば合格後の実務人生も変わることさえあります。
選択科目の選び方は試験に限らずある程度一般化することはできますが、自分が受けたことのない試験については何とも言えないので、以下ではまず司法試験について書いていきます。
公認会計士試験についても後日書いていく予定です。
司法試験の選択科目
まずは司法試験の選択科目にどのような種類があるのかを知る必要があります。これは必須の作業です。
種類を知る
司法試験の種類は以下の8種類があります。
- 倒産法
- 租税法
- 経済法
- 知的財産法
- 労働法
- 環境法
- 国際関係法(公法系)
- 国際関係法(私法系)
うん多い。こんなにいっぱいあるんですねw
司法試験はこのうち1科目を選択し、論文式試験を受けることになります。
受験者数を知る
選択科目の種類を知ったら、次は受験者数(比率)を知る必要があります。
受験者数の実績は法務省のHPで公表されます。
平成31年度(令和1年度)の司法試験の選択科目別の受験者数の実績は以下になります。
平成31年度 | 受験者数 | 割合 |
倒産法 | 608人 | 13.7% |
租税法 | 329人 | 7.4% |
経済法 | 789人 | 17.8% |
知的財産法 | 597人 | 13.5% |
労働法 | 1299人 | 29.3% |
環境法 | 256人 | 5.8% |
国際関係法(公法系) | 59人 | 1.3% |
国際関係法(私法系) | 492人 | 11.1% |
合計 | 4429人 | 100% |
これをみて、どの科目にどれくらいの受験生が受けているのかをまずは把握しておきましょう。
これらを使って選択科目を選ぶ戦略をたてます。
選択科目の選び方(司法試験)
選択科目を選ぶ戦略はいろいろあります。いくつか紹介していきましょう。
戦略1:受験者数が多い科目を選ぶ
まずは、受験者数が多い科目を選ぶ戦略です。実は自分はこの戦略をとって決定しました。
受験者数が多いということはライバルが多いことだと思うかもしれません。
たしかにライバル数は多いのですが、司法試験は相対評価です。偏差値による調整がされるため、受験者数が多い科目は合格者も多くなるはずですので、ライバルの数はあまり関係ありません。
受験者数が多い科目を選ぶメリットはずばり勉強教材の多さです。
受験者数が多い=予備校や出版社にとってはビジネスチャンスですので、参考書や講座が多くなります。
勉強教材が多ければ自分に合った講義・書籍を選ぶことができますし、わからないことがあったら他人に聞きやすくなります。
具体的に、受験者数が多い科目は何かというと、上の表でみればわかるように、労働法・経済法・倒産法・知財あたりです。これらであればまず教材に困ることはないでしょう。
戦略2:受験者数が少ない科目を選ぶ
逆に、受験者数が少ない科目を選ぶ戦略もあり得ます。
受験者数が少ない=教材が少ない=特定の教材をやりこめば他の受験生とは差をつけられにくい、という関係にあります。
個人的にはちょっとリスクがある気がしてあまり好きではないのですが、全然ありです。
司法試験でいえば、租税法、環境法、国際公法などがこの戦略の典型です。
戦略3:興味がある科目を選ぶ
受験者数と一緒に考慮したいのは、やはり興味がある科目です。
基本的には受験生の数という戦略の方を優先すべきだと考えていますが、やはり勉強は興味があった方がはかどるのは確かです。また、知財系の法律事務所に就職したい場合や、その分野を極めていきたいと考えているのであれば、それは受験生時代から理論を学んでおいた方がいいです。
もし興味がある分野が固まっているのであれば、それはしっかり尊重しましょう。
戦略4:勉強したことがある科目を選ぶ
あとは、法科大学院で授業を受けていた場合や、他学部の出身の人は大学で触れたことがある科目、他資格を持っている方はその資格と重複する科目を選ぶのはありです。最初から多少の事前知識があるため、勉強にとっつきやすいというメリットがあります。
公認会計士や税理士の資格を持っている人は租税法が相性はいいですし、社労士の方などは労働法がいいでしょう。
私の場合は公認会計士を持っていたので租税法にしてもよかったのですが、教材の多さ、興味などから労働法にしています。
選択科目を選ぶ時期
最後に、選択科目はいつごろ選ぶのか?という質問もよく受けます。
法科大学院に通う方は履修の関係もあるので、入学時のカリキュラムを考える時にある程度考えておいた方がいいでしょう。
他方で、予備試験一本の方は、まず予備試験の論文に合格することが最難関ですから、予備論文受験後~合格発表の時期に考え、勉強を始めれば十分です。
おわりに
今日は司法試験の選択科目について書きました。
正直、実務に出ればどの科目も相談は来るので、勉強して対応する必要が出てきます。なので、個人的には「興味」より「受験戦略」で選ぶのが良いかなと思っています。
一度選択した科目を変更するのはやはり大きなロスですので、その後変えることはないという前提で勉強を進めていきましょう。
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